【スピンオフ】コードブルーもう一つの戦場のあらすじとネタバレや感想！出演者キャストまとめ

ヘリ着陸失敗事故の灰谷のPTSDはいまだに収まらず、専門医の診療を受けていました。

横峯と名取、雪村は心配しつつも、もどかしい思いを抱えていました。

灰谷は、そのストレスからミスを繰り返し、苦しむ中で白石の名前で睡眠薬を入手してしまうのです。

それに気づいた横峯は、灰谷の心の闇を名取にだけは吐露します。

あの事故は、たまたま灰谷が担当だっただけで『自分がその場に居合わせていたのかもしれない』と。

横峯は、今の灰谷の状況が決して他人事ではないと思うのです。

二人を見つめる同期の名取も、この救命センターに配属されて以来の日々を思い出していました。

彼を指導していた緋山の、患者へのスタンスは、それまでの彼を打ち砕くものであり、名取をより一層成長させていくのです。

睡眠薬は正常な判断力を鈍らせます。

灰谷は毎晩のようにそれを服用し、心が揺れているところに、記者が灰谷がその当事者とは知らないままに『パイロットに何があったのか？救命医は何かしたのか？』と問いかけますが、灰谷は振り切るようにして駅に向かい、電車が迫る線路に落ちてしまうのです。

命を取り留めた灰谷ですが。

横峯や名取は、灰谷の責任感の強さやこれまでの歩みを思い出し、それに押しつぶされかかっていることを惜しむのです。

回復した灰谷を迎えた救命センターの面々ですが、その姿は痛々しいほどでした。

その裏側では、灰谷は自ら精神科のカウンセリングルームへと通うようになりました。

担当の二宮医師は灰谷のPTSDを克服しようとする姿に、親身になって寄り添います。

そんな中、臆病なほど慎重だった灰谷は担当した少年の異常に気づき、そのおかげで急変した少年は一命を取り留めました。

その処置を助けたのは横峯と名取で、バラバラになりそうだった三人は、チームとして一人の命を救ったのです。

救命センターが落ち着きを取り戻したころに、あの最悪の地下鉄の崩落事故が起こりました。

藤川が二次災害の崩落に巻き込まれ、現場で藍沢らが奮闘する中で、灰谷は搬送された重症患者の症状に違和感を覚え、橘に進言し、まさに戦場の混乱の中でその患者の命が救われたのです。

灰谷は、不時着事故の時に助けられなかった男性の婚約者のリハビリの姿を直視しました。彼女もまた、強く、その過去を乗り越えて行こうとする姿勢に励まされ、灰谷は事故後、初めてのフライトに復帰するのです。

・灰谷のトラウマ

踏切事故のために出動したドクターヘリの不時着事故のシーンは、長い間『コードブルー』を見てきたファンには辛いシーンでした。

これまで、ドクターヘリ側には事故が起こったことは一度も無かったからです。

そして、トリアージでいうところの黒タグだった青年を助けられなかった自分を責めている灰谷の思いは痛いほどに伝わってきます。

ヘリが飛べない、その翼をもがれた彼らの無力感は、みているこちら側にとってもむごいものでした。

その査問委員会が開かれた時には、白石が灰谷をかばうものの、ドクターヘリの運航パイロットたちが業務停止の処分を受けたことを知り、彼は打ちひしがれてしまうのです。

・横峯、そして名取の想い

そんな灰谷を見つめる横峯は、たまたま今回の事故のときに乗り合わせていたのが灰谷だったというだけで、もしかしたら自分がそうなっていたのかもしれない、と思うと、より一層見捨てられない、という思いに苛まれていました。

最初はミーハーで、ちゃらちゃらしたお嬢ちゃんだと思っていましたが、横峯はひとつひとつの現場で場数を踏むことで、憧れのドラマの中の進藤医師に近づいているような気がしました。

未熟さや無力さに苛まれるのは灰谷と変わらない。

しかし、そこにある感情や、意思の強さで彼女は這い上がっているのです。

そんな横峯を茶化すような名取も、配属当初の傲慢で強気でアウトゴーイングだったのが、針刺しインシデントや臓器提供を間近に見るといった、さまざまな壁にぶつかりながら、しかし以前のようにドライに割り切れないままに、横峯の言葉、緋山の姿に影響を受け、大きく変化していくのです。

・カウンセリングルームで…

灰谷は睡眠薬を乱用して取り乱し、線路に落ちて負傷してしまいます。

トラウマは深く、そのPTSDに苛まれる中で、それでも彼は乗り越えたい、と自ら精神科のカウンセリングルームを訪ね、その記憶に立ち向かおうとするのです。

おそらく、何度も何度もあの日のことをトレースしているのでしょう。

その姿は決して弱いものではなく、同期の二人とは質の違う強さなんでしょう。

担当医師はその彼の想いに寄り添うように時間をかけて克服していく道を示していきます。

PTSDの先の見えなさ、そして不確定要素の多さを知り尽くしているからこそ、必死になって這い上がろうとしている灰谷の姿に手を差し伸べてくれている医師の姿は有難いものに映りました。

・緋山の危機と名取の成長

成田空港での、名取の針刺しインシデントで、緋山が危機的状況に陥った時、名取はかつてない動揺を見せます。しかし、そのエピソードがあって、緋山と緒方の関係は進展していくのですが、恋と、尊敬と、緋山を巡る男たちの距離やその想いはとても興味深いものがありました。

緋山の無事が判明したとき、名取は幼い子供のように泣きます。其の姿はピュアで、鎧を脱ぎ捨てた子供のようでした。

・乗り越えるべき灰谷の中の壁

慎重すぎた灰谷の姿勢はずっと批判されていましたが、そのポリシーで一人の子供を救った時、彼の中で一つの自信が生まれました。

まだヘリには乗れなくても、人は救える。

医師であることで、誰かのために何かができるのだ、という気持ちを取り戻したのです。

崩落事故の時にも、彼でなければ救えなかっただろう患者がいました。

橘に認められたことで、彼はフライトドクターへの道を再び歩き出すのです。

そんな彼の背中を押した横峯と名取はカッコよかったですね。

仲間として、励まし、力を貸す、という二人は灰谷にとって最強の『同期』でした。

…10年後のこのフェローたちのドラマも観てみたいなぁ、と思ってしまいました。